| 箱根2 : 金時山から「星の王子さまミュージアム」+ポーラ美術館
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| 財団法人ポーラ美術振興財団ポーラ美術館 神奈川県足柄下郡箱根町仙石原小塚山1285 tel.0460−4−2111 http://www.polamuseum.or.jp/ ポーラグループのオーナーであった鈴木常司(1930-2000)の40年に及ぶ9500点のコレクションを公開するために計画された美術館。 19世紀フランス印象派やエコール・ド・パリなどの西洋絵画400点のほか、日本の洋画・日本画、工芸、化粧道具なども含む。 美術館の土地は国立公園にあり、自然条件が厳しい、法的条件が厳しい、環境配慮条件が厳しいという、多重苦のような制約のなかで作られた。 小塚山の森の一部をすり鉢状に掘って、その中に美術館を置くような構造にして難問を解決した。本体は地下にあるのに、自然光を取り入れて、明るく軽やかな空間を生み出している。 ◇ ◇ 建築の設計は日建設計/安田幸一で、2003年第16回村野藤吾賞、2004年日本建築学会賞・作品賞を受賞している。 (以下の「 」中の文章は次の3つから合成している。文責はホ−ムペ−ジ作成者。 1 新建築 2002年8月号 2 村野藤吾賞授賞式・記念講演における安田幸一の発言 建築会館ホール 2003.05.15 3 「45歳以下の建築家45人展座談会 手塚貴晴 手塚由比 吉松秀樹 安田幸一 曽我部昌史」における安田幸一の発言 埼玉県立近代美術館 2004.04.18) 調査: 「自然環境の維持はまず実態を調べることからということで、1994年に環境評価のための調査が行われた。」 「胸高直径20cm以上の樹木の位置、種類、樹形などをすべて調べ上げる毎木(まいぼく)調査では、 ブナ、ヒメシャラ、イヌシデ、ミズナラ、ヤマボウシなど、落葉広葉樹主体とする豊かな林の様子が確かめられた。」 「動物も調査対象で、1u掘って、どんな虫が何匹いるかまで調べた。 計画地とその周辺100mの範囲に、 リス、むささび、イタチなどの哺乳類12種 ヤマガラ、シジュウカラ、クロツグミなどの鳥類51種 両生類、爬虫類5種 昆虫類1112種 真正クモ類136種 陸産貝類19種 底生動物97種 などが確認された。 25haをポーラで取得し、神奈川のトラストに寄付している。」 美術館に行って周囲の森を眺めても、それほどの生き物が暮らしているようには見えない。生き物を宿す自然の力はすごいものだと思う。 方針: 「敷地を見て、自然に中途半端に迎合することはやめよう、対立でも、おもねるのでもなく、自然は自然、建築は建築として作ろうと考えた。」 「印象派の作品にも迎合しないで行こうと考えた。当初のプレゼンでシャープすぎるかと思いながら提案したが、植木浩館長の第一声は、どんどんシャープにしてください−だった。」 「植木浩館長には4つのAという方針がある。 art、 architecture 、 administruction管理運営、atmoshere空気や、人の接遇なども含む。 絵と遭遇した空気が大事で、ほんものと出会うこと、パソコンの画面などにはない情報がだいじ、という考え方だった。」 「将来、美術館でなくなるかもしれない、あるいは現代美術館になるかもしれない、と思って設計していた。機能だけでなく、骨が残っていくように。」 全体構造: 「美術館をつくるには最悪の土地だった。 国立公園 環境を維持したうえ、高さ8mという制約がある 地震、湿気、空から硫黄が降る 冬は−15度までなる 小田原が晴れても箱根は雪」 「当初は小さなものを点在させる案を考えたが、逆に不利になることがわかった。 そこで、できる限り集約することにした。壊す部分は仕方がない。守るものは徹底的に守る。 スケッチを重ねていくうちに、大きな円形を森の中に置いた瞬間があり、これだと思った。 円は周囲との接線を最小限にする。地下におくことによる圧力を均等に受ける。 伏流水の処理にも有効。直径76mのアリーナで、地下に建築を置く。」 「ところが、環境庁との交渉でいわれたことは、 『国立公園の中では円い建物はだめ。法で決まっている。』 超法規的に○が認められているのが(村野藤吾先生の!)箱根プリンスホテル。 擁壁は土木工事だから○だが、建物は□に。」 「円の中にさまざまな形態をスタディしていって、十字に落ち着いた。 中央にパブリックな部分をあて、周囲に回遊していく。隅の三角形は安全に避難できるための通路とする。」 「設計の初期のころ、阪神大震災が起きた。地下だが、免震ゴムで完全免震にした。 すり鉢にあわせて建物も下が小さい。免震を支える点は16。 地下に埋もれているのではなく、地下に置いてあるので、下からさわれる。永久にメンテナンスができる。 100年たったら、すり鉢を使って新しい上屋を作ってくれるのではないか。」 「当初案では、桶(擁壁が直立している)だったが、傾斜したすり鉢に変更した。 すり鉢だと、コンクリートの量は四角のほぼ1/2。 雨水が流れこんでプールにならないよう非常排水の装置をしている。濁水沈殿プラントを経て放流している。まわりの川にマイナスはない。」 環境を大きく壊さないために地下に建築を埋めるという考え方があるようだが、僕にはこれまでどうも釈然としなかった。地上に建てるより、たとえ目に見えるボリュームは小さくても、自然の改変の程度は大きいし、年を経て傷んだときの回復も難しそうで、極端な話、膨大な廃棄物を埋め込んだことになりかねないとも思う。 その点、地下に浮かせるここのやり方は、将来的な維持のことまで見通せば、明快で、環境へのマイナスが少ないように思える。 照明: 「照明について植木館長の注文は『夏のパリの夕暮れの甘い光り』であった。 柔らかくて、透明感があって、紫がかった青。 うす暗いところより、さわやかな明るさのところでみたいという要望にこたえなくてはならない。」 「照明のデザインは豊久将三(キルトプランニングオフィス)と共同した。 世界初といえる光ファイバのシステムにより、条件を達成できた。 光ファイバによる照明は紫外線も、光がもつ熱もないので、作品を傷めることもない。」 ◇ ◇ 展示室に入る。 「夏のパリの夕暮れの甘い光り」という照明。 作品の見え具合や、全体の明るさはいいと思う。紫外線や熱の点も優れているのだろう。 だが、どうもしっくりなじめない。 理由を考えてみると、境があいまいなためかと思う。間接照明の光源を得るために、上があいた幅広の移動壁がいくつもある。 3.9mの高さの天井は、コンクリートでぎざぎざに波打っている。微妙な陰影のある間接照明になる。 移動壁の中の光源からの光を、波形天井が柔らかく折り返しているのだが、きっかり部屋を区切ってないので、何だかとりとめなく曖昧になっている。 光の効果のことをきいていたので、たとえば静岡グランシップのホールのような、光自体が気持ちをそそるような空間を期待していたのだが、ちょっと違ったなという感じがした。 もう1つ、空調の音が気になった。僕は片方の耳がほとんど聞こえないので、両耳あわせても性能がよくないのだが、それでもどこにいてもずっと空調の音(動力か空気の流れかよくわからないけれど)が聞こえ続けていた。 もちろん大きな音ではないが、こういう静かな空間にしては、やや気になった。 ロビーに戻ると、吹き抜けに外からの自然光が降り注いでいてとても気持ちがいい。 展示室側の壁面は、モールドガラスを積み上げて、うっすらと光を帯びている。 吹き抜けのB1階部分にカフェがあって、ここで香りのいいコーヒーなんか飲んでたら、うっとりしてきそうだ。 ◇ ◇ □ ポーラ ミュージアム アネックス 東京都中央区銀座1-7-7 (ポーラ銀座ビル) tel. 03-3563-5501 http://www.pola-ma.jp/ 2002年9月、「ポーラ美術館」開館に伴い、銀座に開設。 現代の美術や、長い年月をかけて収集した化粧道具、伝統工芸などを展示している。 |
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