| 大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ <雪景色>
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上越新幹線を越後湯沢で降り、ほくほく線直通電車に乗り換え、まつだい駅に着く。カラカラに乾燥した関東平野から来たのだが、主要な乗り換え駅を過ぎるごとに、またトンネルを抜けるごとに、雪が厚くなる。 それでも、最近雪が少なくなる傾向とはいいながら多いときには3mをこえることもあるというのに、せいぜい1mをこえる程度。それに車道はきれいに除雪されているから、ビックリするほどの雪景色ではない。 *作品名のあとの番号は、2003年のトリエンナーレ開催時にガイドブックなどでふられていたもの。 *松代では1日目曇り−雨、2日目晴れだった。写真は2日間にとったものがまじっています。 草間彌生「花咲ける妻有」no.124 まつだい駅を降りて農舞台に向かうと、まずこの作品が目につく。 白い雪面の上に鮮やかな形が踊っていて、とても映える。 もっと雪が多い時期には、完全に雪の下に埋もれてしまっていたという。 なぜかこの作品には雪囲いがない。雪仕様で作ってあるのかもしれない。
ジョセップ・マリア・マルティン「まつだい住民博物館」no.115 農舞台に向かう通路は、外側に網が垂れていて、雪から守られている。 何カ所かのスピーカーから地元の人の声で「よってかねーかい」と誘われながら歩いていく。 小沢剛「かまぼこ型倉庫プロジェクト」no.122 大から小まで7個の倉庫があるが、今は大きいほうから2つだけが雪の上に頭をだしている。冬の間に出し入れするものは入れられない。
農舞台の中に入って、まず 河口龍夫「関係−黒板の教室」no.119 何から何まで緑色に塗られた教室。 昨年夏の開室直後は、いたるところに白墨で落書きされていた。 秋に来たときには、すっかり拭き落とされていたが、白墨の粉は板にしみこんでいて、完全には消すことができず、うっすらと落書きの跡が見えていた。 今度来てみると、また落書きされているが、いかにも落書きがあるべきところが落書きされているだけで、夏のころのような「耳なし芳一」状態ではなかった。 日比野克彦「明後日新聞社」no.186 ギャラリーでは、 「日比野克彦 明後日新聞社コレクション 旧莇平小1年1組HIBINO組展」 を開催中だった。 明後日新聞はトリエンナーレ会期中は毎日発行された。 今は月1回発行で、定期購読制度があり、1部30円+送料・手数料95円。 ミュージアム・ショップで、最新の1月と2月のを買って、あとで読んでみたら、会期後も明後日新聞社や農舞台でいろんな面白いことをやっている。 いろんなイベントごとに、酒やごちそうの気配が濃厚に漂っている。 そそられる。 牛島達治「くむ・めぐむ・いとなむ」no.117 ミュージアム・ショップの中の作品。 商品をのせた皿が、天井のレールから吊り下げられて、回転していく。レールには、植物に水を配るシステムも組みこんである。 ところが、今は故障中。春になったら、作家が修理にくるという。 ファブリス・イベール「火の周り、砂漠の中」no.118 農舞台の中をひととおり見終えて、この作品(である部屋)の中でひと休み。 雪国のかまくらのようでもあり、砂漠の移動テントの中のようでもある。 壁には星座のように光りの点を散りばめてある。 昼どき近く、空腹になり、家族4人でベンチに座って、待ち合わせた I さんが現れるのを待つ。 I さんは、まつだい駅から車で20分弱の莇平(あざみひら)にお住まい。 莇平といえば、明後日新聞社のあるところで(もともと莇平の小学校跡を使っている)、日比野社主や社員たちが、何度かIさん宅に泊まって世話になってもいる。 ◇ ◇ ジャン=リュック・ヴィルムート「カフェ・ルフレ」no.116 定刻に現れた I さんと、農舞台のなかのカフェに昼食に入る。 食事には地元の野菜や山菜を使った定食がある。おむすびと、炊き込みご飯の2種。 他に食事のメニューとしてはフキが入ったカレーもある。 カレーにフキはどうもあわなそうだなあ...とためらいつつも、I さんはカレーを注文する。地元産農産物の定食なんて、いつもうちで食べてるのといっしょ。外に出てお金を払って食べる気になんかならない−という。その気持ちも、まあ、もっともだと思う。 新幹線に乗ってきたような僕らには、素朴な料理が新鮮でおいしい。 こういう施設の運営を考えると、メニューをどうするかも難しい。 地元の料理では、地元の人は食べない。 中途半端なパスタとかでは、遠来の客は喜ばない。 あれもこれも用意するほどには、入場者は多くない。 う〜ん... コーヒーを飲んでるうちに雨が強くなってきた。 前はとくに気にして見ることはなかったのだけど、近頃、天気情報のたびに新潟のを見る。 冬は雪か雲か雨が多くて、めったに太陽マークがでない。 雪・雲・晴はわかるけど、雨というのがなんだかわからなかった。 雨になるくらいなら、雪になりそうなものだ。 それに大量に雪が降り積もっているところに雨が降っている−というのが、どうもイメージとして思い浮かべられない。 でも、農舞台の全面ガラスのカフェから、雨が降るのを眺めていて、とにかく実際に雪国に雨が降ることを納得した。 ◇ ◇ 向かいの田に、 イリヤ&エミリア・カバコフ「棚田」no.121 実際に米作りに使っている田に、農作業の姿をFRPでかたどった黄色と水色の作品が置かれている。 しっかり雪囲いをしてある。 雪のピークには囲いごと雪に埋もれるはず。 白井美穂「西洋料理店山猫軒」no.140 宮沢賢治の「注文の多い料理店」から発想した数枚のドアが上部だけ雪の上にでている。 階段を降りて、ピロティに出る。 藤本修三「空と地の間にて」no.120 雪のない季節には屋上にあった椅子。 今は屋上は閉鎖してあり、ピロティ下に置かれている。
田中信太郎「○△□の塔と赤とんぼ」no.128 坂の上に背の高い赤トンボが見えている。 遠いのだけど、雪景色には赤い色がさえて似合う。 ◇ ◇ チャン・ユンホ(張永和)+非常建築「米の家」no.142 城山を上がったところにあり、家族といっしょなので見に行けなかった。 棚田に置かれた向かいあわせの椅子。 そのミニチュアが髪飾りみたいに上についていて、雪が降ってもミニチュアが椅子のありかを示すように作った−というので、とくに雪の時期に見たかった作品なので、心残り。 まあ、行ってみても、雪が最大量ではないので、ミニチュアだけが顔をだしている状況ではないだろうけれど。 ギャラリー・間で開催中の「承孝相と張永和展」にあわせて先月あった講演会で、話を聞いてきたばかりでもあった。 張永和は、今、ものすごい勢いで新しい建築が作られつつある中国の建築家。 外見は、建築家らしくも、野外アートに作品をだす現代美術家らしくもなく、中国の実業家みたいだった。 聴衆からの最後の質問にこたえて、「これから、たくさんのよい建築、おもしろい建築ができるだろうが、僕は建築の平均的レベルを上げることがいちばん大事なことだと思う」という回答が印象に残った。 ◇ ◇ ■ まつだい雪国農耕文化村センター農舞台 MVRDV no.112 http://www.noubutai.com/ 「新建築」2003年8月に、この建築が紹介され、設計に関わったSUPER−OSの吉村靖孝は、こういう文章を書いている。
雪が少ない3月初めに行ったので、本格的な雪のときにどんなだったのか、わからない。眺めとしては、雪の中の白い建築はきれいだった。
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