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| 5 タイプ標本 美術作品や歴史資料*では馴染みがないが、自然系ではタイプ標本というものがある。動物や植物(の名前)の1つ1つについて、その定義となるおおもとの現物標本のこと。 たとえば、ある花に似ているが新種かもしれないという花を発見したとき、対比すべき原型となる標本であって、基本的に世界に1つしかない。(実際には、予備的標本など、いくつかのレベルのタイプが定義されている。) (地球上の全生物について必ずタイプ標本があるわけだが、鯨やゾウのタイプ標本はどこに、どのようにあるのだろう?) *考古資料については、形式・編年を決める「標式土器」というものがある。 国際動物命名規約、国際植物命名規約、国際細菌命名規約で定められていて、古生物分野も現生生物と同様なあつかいで、動物と植物の化石に関して規約が適用される。 タイプ標本をもつと、 ・ 間違いなく認識できるように、確かにはっきりと標識すべきこと ・ 安全に保管するために必要なあらゆる手段をとるべきこと ・ 研究利用可能にすべきこと ・ 保管または管理しているタイプ標本のリストを公表すべきこと ・ タイプ標本にかかわる情報を求めに応じて提供すべきこと などと定められ、国際的な責任を負うことになる。しかもこの責任には、いつまでという期限はなく、永久のものである。 タイプ標本を所有する機関は、東京の国立科学博物館はTNS、ロンドンの大英博物館はBMのように、固有の略称をもつことになるが、埼玉県立自然史博物館は今のところ20近いタイプ標本をもち、SMNH(Saitama Museum of Natural History)をふられている。 さらにタイプ標本として発表すべきものも相当数あるが、今かかわっている学芸員が退職でいなくなった場合などを想定して、将来にわたって責任をとりきれるか見通せなくて保留している。 タイプ標本をもつことは、責任を負うことではあっても、まず名誉でもあるわけだから、惜しいことである。 |
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