天狗岩から緑の森の一角獣座


 天狗岩  緑の森の一角獣座
     1 日の出の森−アニメまたはSFの世界
     2 緑の森の一角獣座
     3 つましい生活
     4 日の出町アーチスト・イン・レジデンス
     5 若林奮と吉増剛造
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1 日の出の森−アニメまたはSFの世界

馬引沢峠から旧二ツ塚峠へ向かう道から右にそれていく細い道にはいる。(道の端に日の出の森へ導く案内図がある)
道の両側に並ぶ杭に紐が結ばれ、道からはまったくはみだせないようにしてある。この道も含めてあたり一帯は「三多摩地域廃棄物広域処分組合」の所有地になっている。奥に「日の出の森」と名づけられた、処分場反対者たちの所有地(2800人の市民が共有するトラスト)があるが、すっかり囲まれてしまっている。法的には「囲繞地(いにょうち)」といって、周りの所有者は内部の所有者のための通行路を確保しておかなくてはいけないのだという。

「日の出の森」に近づくと、反対運動に共鳴する人たち1人が1枚ずつ書いたらしい黄色い旗が紐にくくりつけてある。反対の決意や、森を残すようにという願いなどがかかれている。かなりの枚数で、かなりの距離にわたってぶらさがっている。
残念なのは、旗が重そうな合成繊維製で、字がかすれ、ほこりや雨にまみれ、汚らしくなっている。ごみの処分場への抗議であり、若林奮のような美術家が関わってもいることだから、分解しない材料ではなく、古びてもそれなりに見られる自然素材を使って欲しいところだ。

塔が見えてくる。やがて舞台らしいものも見えてくる。
近づくと、ロケット形をした塔には、壁面に小さな陶片が数多く貼りつけられている。1枚1枚が、多くの人の手で絵がかかれたうえで焼かれている。
頂上にはプロペラがあり、風に吹かれてゆるやかに回転している。風に応じて鐘もなる。
宮崎駿のアニメの世界のよう。
この「風の塔」は造形作家・中里絵魯州がデザインし、たくさんの人の協力でできている。



隣の舞台では踊りやパフォ−マンスが行われたという。舞台の下は部屋になっていて、反対運動の人たちが泊まり込んでいる。小さな山小屋のような雰囲気で、仲間で集まって楽しいキャンプをしたくなるようなところだ。
舞台+小屋のすぐ先に処分場が開いている。谷の樹木を取り払って幾段かに造成した地面に、ダンプカ−が焼却灰を運び込んでいる。
外界から侵入するものに対して異議申し立てをする谷間の森の人々−といういいかたをすれば、大江健三郎の小説の世界でもある。

塔のわきでは太陽電池パネルが空を向いていて、小屋の電気はそこからとる。
井戸もあるが、すでに汚染されている心配があるので、水は使っていないという。
破壊のあとの世界を描いたSF作品を連想した。進んだ技術の知識はあるが、生産する施設はない。壊れた器械の一部を使ったり、ほかの用途のものを転用したりして、ハイテクだけれどロ−テク・手作り感覚で情報や通信を扱っている。いま思いつくのは「ウォ−タ−ワ−ルド」とか、ちょっと設定は違うけれど「スワロウテイル」とか。
この森の様子は、そういう世界も連想させる。

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