| 天狗岩から緑の森の一角獣座 |
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2 緑の森の一角獣座 塔の眺めにひかれて気がつかなかったのだが、若林奮の「緑の森の一角獣座」は道をいくらか戻ったところにあることを、小屋につめている人に教えられた。 戻って道を少し降り、細い、小さい橋を渡り、石の置かれた階段を数段上がる。 背丈の低い木々に囲まれて、狭いがひとつの場所が区切られている。そこが庭。 大き目の岩を椅子にし、小さな石を何個か土で固めたテ−ブルがある。テ−ブルの土からは緑の草がはえている。 詩人・吉増剛造が「緑の森の一角獣座」と名づけたところ。 その庭は、ある意志に基づいて作られた特異な場所であることを感じる。 テ−ブルの先に1本の木があって、ほとんどが常緑樹のこの森の中で、その落葉樹には淡い緑色をした新しい葉が芽吹きつつあり、ちょうど向こうから日の光が落ちてきて、新緑の花火が開いたかのようだった。 反対者の運動は続いているけれど、現実の流れからするとこの森は遠からず収用されるだろうと思う。この庭とこの若々しい命を感じさせる木が破壊されると考えると痛ましい気持ちがした。 破壊される前に多くの人がここを訪れて、この場に立ったことの記憶をもち、破壊のあとには、破壊されたことの痛みを持ち続けてもらえるといいと思った。 *この庭を作るのにあたって若林奮は次のように書いている。(全文) :多くの川を渡ってふたたび森の中へ: 私がここに造ろうとしているのは、彫刻であり、庭であり、又、人が森に接する場所である。そして、そこは、人間が静かに休息する場所でもある。しかし本来この土地は、日の出町の森に進められようとしている、ゴミ処分場開発計画に反対して確保された土地のトラスト運動の拠点である。私の作品の考えの中には、当然この運動を支持する意味が含まれている。 森の中で様々なものに触れてみるのは、人間にとって貴重な体験と影響をもたらすと思われる。森がその形で保たれるならば、それは大変よいことである。私は、はかりしれない奥深い自然の中から、感性を通して様々なものを自分に蓄える。そこで私は何かを発見し知識を得て、想像し、時によって自分自身の姿を知ることになる. 彫刻家である私は、ここに出来るだけ森に近づき、又そのきっかけとなる様な場所を造ろうと思う。ここで思うことは、個人の様々な体験であり、それは決して一様のものではないのであろう. そして私自身のことでいえば、自然から与えられる不思議さと、おそれを知る場所であると共に、自然のもつ親しさのなかで、静かに休息する場所でもあると思われる。 何故かといえば、ここで私は感性を通して、小さいもの、弱いものを知り、それらがこの森の中でも、世の中においても、大切なことであるという基本的な精神を蘇らせることができると、望みを持っているからである。 そのように考え、私はここに、植物によって囲まれた空間と,その中に腰掛け(椅子)と対する台(机)を造ることにした. この空間は、森であり、庭であり、彫刻であり、静かな休息の場である。 私達は、森を所有する。 1996年4月10日 若林 奮 |
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